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初めて経験した未知の感覚にぼうっとしていると、
お母さんが早く帰ってきて夕食になりました。
お通夜のような夕食でした。
家ではいつも、食事の時にテレビを見ません。
それが当たり前だと思っていました。

わたしは元々、テレビは教育チャンネルしか見ない、
変わった子だったので平気でした。
そのせいでますます、
学校で周りと話が出来なくなったのかもしれませんが。

いつもなら、お兄ちゃんがわたしに話しかけてきて、
学校での話をしたり冗談を言って笑わせたりするのですが、
その場では一言も口にしようとしてくれません。

普通なら様子がおかしいと心配するはずですが、
お母さんは黙々と食べるだけで何も言いません。
この頃、お母さんはわたしたちの事に無関心でした。

わたしは、お兄ちゃんに、
「今日、社会と国語のテストで満点だったんだよ」
と言いました。
お母さんは、
「○○は勉強しか出来ないからね」
と言い、
お兄ちゃんは、小さくわたしに頷きかけただけでした。

この日からマッサージャーは、
わたしとお兄ちゃんとの二人の秘密の玩具になりました。
今思うと、お兄ちゃんはずいぶんマニアックな
やり方でオナニーをしていたのだなと可笑しくなります。

わたしがマッサージャーを使うのは、月に2回ぐらいでした。
あまり頻繁に使うと、なんだか怖いような気がしたからです。
お兄ちゃんより早く帰って来た時に使って、
後でお兄ちゃんの枕の下に返しておくのです。

お兄ちゃんがどれぐらいの頻度でオナニーをしていたのかは、
わたしにはよく分かりません。
二人のあいだでは、
あの日の事をお互いに決して口にしないのが、
暗黙のルールになっていました。

わたしは愚かにも、こう信じていました。
マッサージャーを使った遊びを発明したのはお兄ちゃんで、
こんな気持ちの良い遊びを知っているのは、
世界でもわたしたち二人だけだと。

それが全くの勘違いである事に気付いたのは、
5年生の半ば過ぎです。
教室に男の子が居ないと遠慮のない大声でおしゃべりする、
エッチな話が好きなクラスメイトの話を聞いてしまったのです。
オナニーという言葉を初めて知って、
わたしは茫然自失としましたが、
教室ではいつも無口だったせいで気付かれなかったと思います。

好きな人の事を考えながらあそこを慰めるのがオナニーなのに、
わたしがしていたのはただ玩具を使っていただけでした。
わたしが本当のオナニーを始めたのは、その日からです。


なるほどなぁ……
2017-05-30 02:40:36 (12ヵ月前) No.1
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