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いつものお兄ちゃんなら、「気持ち良いか?」とか、
「お客さん、かゆいところはありませんか?」とか話しかけてくるのに、
この時のお兄ちゃんは、終始無言でした。

シャワーでシャンプーを洗い流された後、
泡立てた柔らかいスポンジで背中をこすられました。

少しも痛くない、撫でられているような力の入れ具合でした。
でもわたしには、心地良さに酔っている余裕はありませんでした。
お兄ちゃんの心が遠く離れているようで、不安でした。

右の脇の下から、スポンジを持ったお兄ちゃんの手が突き出されました。
スポンジを取って、自分で前を洗え、というサインでしょう。

わたしはその手の甲を掴んで、スポンジをお腹に当てました。
お兄ちゃんはびくりとして、そのまま手を動かしません。
わたしは、蚊の鳴くような声で言いました。

「お兄ちゃん、ちゃんと洗って……ぜんぶ」

耳許に当たる、お兄ちゃんの深いため息が、熱風のようでした。
お兄ちゃんは左手でわたしの肩を押さえ、右手でゆっくりと、
わたしのお腹をこすり始めました。

やがて、胸の膨らみかけた部分まで上がってくると、
ためらうように動きが遅くなり、じわじわと撫で回されているようでした。

わたしはオナニーの時も、胸をいじったりはしていませんでした。
くすぐったいような、むずがゆいような感じにぞくぞくしました。

息を殺しきれなくなって、今度はわたしがハァァとため息をつきました。
肩までこすり終えると、スポンジはまたお腹に下がりました。

空間そのものが凝結して、時間の流れが遅くなったようでした。
じれったいくらいに下腹を何度も繰り返しこすった後、
スポンジが生え揃ってきた毛の部分を撫で下ろしました。

「いたっ」

お兄ちゃんの手に力が入りすぎていたか、
それともわたしの感覚が鋭敏になっていたのかもしれません。
かすかな痛みがありました。

お兄ちゃんの手がぴたりと止まり、スポンジが下に落ちました。
あ、これで終わりなのか……と思いました。

お兄ちゃんの指が、下腹の泡をすくい、その指で縦筋を撫で下ろしました。
わたしは反射的に腰を後ろに逃がそうとしました。

わたしの肩に添えられていた、お兄ちゃんの左腕が、
いつの間にか前に回っていて、上半身がお兄ちゃんの胸に抱き留められました。

「ぁぁぁっ……」

「○○、もう、毛が生えてるんだな」

目蓋を閉じたわたしの耳許に囁かれたお兄ちゃんの声は、
遠くから響く独り言のようでした。
上から下、上から下、と動く指に神経を集中していたわたしには、
返事もできませんでした。

指の感触がなくなって、わたしが目を開けると、
お兄ちゃんは再びスポンジを手にしていました。
太股、膝、ふくらはぎ、足首、足の指先まで、ていねいに洗われました。

背中にくっついていたお兄ちゃんの胸が離れました。

「○○、立って」

お兄ちゃんの声にうながされて、わたしはふらふらと立ちました。
腰に力が入らなくて、前の壁に手を突きました。

ハッ、と気がつきました。中腰でお尻を後ろに突き出した姿勢だと、
お尻の穴まで丸見えです。

わたしはあわてて左手でお尻を隠してしゃがもうとしました。
お兄ちゃんの左手が、わたしの腰骨を掴みました。

「手が邪魔で洗えない」

感情を押し殺したような、平坦な声でした。
逆らえない命令を受けたみたいに、わたしは手をどけていました。

「これで全部だな」

そう言いながら、お兄ちゃんはゆっくりとお尻をこすりました。
お尻の穴まで見られていると思うと、全身が熱くなりました。
汗ではない液体が、内股を伝ったような気がしました。

お兄ちゃんの手が止まりました。
勢いを強くしたシャワーで、全身のすみずみにお湯をかけられました。

「もう上がるか? 湯冷めする前に」

「わたしも洗う」

振り返ると、お兄ちゃんは壁を向いて椅子に座っていました。
鞭を束ねたような筋肉が、背中に盛り上がっていました。


キャー
2018-09-04 15:38:48 (5年前) No.1
おまえらあたまだいじょうぶ?
2018-09-04 15:39:35 (5年前) No.2
おれおまえらのしょうたいしってる
2018-09-04 15:41:07 (5年前) No.3
なまえかいてあげよっか?
2018-09-04 15:41:39 (5年前) No.4
3.2.1.......................................................................
2018-09-04 15:48:48 (5年前) No.5
はやくのろわれてしね
2018-09-04 15:49:43 (5年前) No.6
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