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「それで、続きは?」

わたしは震える声でお兄ちゃんに尋ねました。

「お兄ちゃん……どうしたの?」

お兄ちゃんは、食いしばっていた歯をゆるめて笑顔を見せました。

「ん? なにが?」

わたしがb君からの手紙を見せると、
お兄ちゃんは1枚1枚ゆっくりと時間をかけて目を通しました。
読み終えた便箋を封筒に仕舞って、お兄ちゃんはため息をつきました。

「ふぅ……この調子だと、手紙も本人もまた来そうだな……。
 ○○、お前の気持ちはどうなんだ?
 正直なところ、b君をどう思ってる?
 なんとも思ってないのか?」

お兄ちゃんが真剣そのものの声で、聞いてきました。
わたしは心を落ち着けて、考えました。

「最初は……なんとも思ってなかった」

「今は?」

「今は……会うと、とてもどきどきする」

言いながら、b君の瞳を思い出して、わたしは震えだしました。

「見つめられていると、落ち着いていられなくなって……。
 足元がぐらぐらするような……」

お兄ちゃんが、わたしの顔を覗き込んできました。

「好きに、なりそうなのか?」

「……違う、と思う。目が真剣すぎて、怖い。
 気持ちが強すぎて、わたしには、受けとめきれない」

「そうか……」

お兄ちゃんはしばらく、黙って考え込んでいました。

「このまま、放っておくわけにはいかないな。
 b君はすっかりその気になってると思うぞ」

「うん……」

このまま家に籠もっていても、駄目でしょう。

「兄ちゃんがb君と話をしてやろう。
 b君の気持ちも、本人の口から確認したいし……」

「お兄ちゃんが会うの……?
 でも、わたしのことだから、わたしが言わないと……」

「ん、そりゃそうだけど、お前、b君の前でちゃんと話ができるのか?
 思い出しただけで震えてるようじゃ、無理なんじゃないか?」

「…………」

ひとりで解決できないのが情けなくて、わたしは唇を噛みました。

「困った時ぐらい兄ちゃんを頼れ。
 心配すんな、b君の話もちゃんと聞いてみるから。
 そうと決まったら善は急げだ」

お兄ちゃんはわたしをベッドに下ろし、立ち上がりました。

「クラスの連絡網はどこにある?」

「電話の所に貼ってあるけど、電話するの?」

「ああ、ちょっと待ってろ」

お兄ちゃんは部屋を出て、電話を掛けに行きました。
戻ってくると、わたしをベッドに寝かしつけました。

「少しはあったまってきたみたいだな。体冷やしたら駄目なんだろ?
 今日は晩飯まで寝てろ。帰ってきたら久しぶりにご飯作ってやるから」

お兄ちゃんは笑顔で手を振って、部屋を出ていきました。
でも、わたしは胸騒ぎがしました。
出ていくときのお兄ちゃんは、目だけが笑っていなかったからです。

わたしは起き出して寝間着を脱ぎ、外出着に着替えました。
お兄ちゃんの後を追いかけようと思いましたが、
よく考えると、どこに行ったらいいのかわかりません。
わたしは1階に下りて、電話の周りをうろうろと歩き回りました。

不安がピークに達したところで、お兄ちゃんが帰ってきました。
わたしが玄関に駆けつけると、驚いた顔をしました。

「○○、どうしたんだ? 寝てなかったのか?」

わたしはお兄ちゃんの全身に、くまなく視線を走らせました。
どこも怪我はしていません。両手も綺麗です。

「おかえりなさい」

そう言って、靴を脱いで上がってきたお兄ちゃんの胸に、頬を当てました。

「……! どうしたんだ?」

お兄ちゃんは怪訝そうな声をあげ、わたしの肩を抱きました。
お兄ちゃんの服が汚れておらず、血の匂いもしないので、
わたしはホッとしました。

「喧嘩してるんじゃないか、って心配だった」

「バカだな……怪我なんてさせてないよ。
 じっくり話をしたら、b君もわかってくれた。
 もう付きまとわれることはないから、安心していいぞ」


(・▽・)ホッ・・・
2017-11-13 19:47:05 (6ヵ月前) No.1
良かた良かた
2018-01-22 23:11:05 (4ヵ月前) No.2
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