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「…………」
「どうした?」
「……あのね……わたし、胸小さいでしょ?」
「ん……あ……その、なんだ。これからまだ大きくなるんじゃないか?
まだ中2だし……って、○○、気にしてるのか?」
「……ちょっとね。UもVもわたしより大きいし……。
それでね……胸を大きくする方法があるんだって」
「……なんだ?」
「その……揉んでもらうと大きくなるらしいの」
ごにょごにょとわたしが言い終えると、
わたしの背中をこするお兄ちゃんの手が、ぴたりと止まりました。
息の詰まるような沈黙が、あたりを支配しました。
どっどっどっと、心臓が口から飛び出しそうでした。
わたしはなんとかこの場を取り繕わなくては、と思いました。
「……お、お兄ちゃん?」
お兄ちゃんは少し間をあけて、厳かに返事しました。
「それは……ダメだ」
「そう……」
お兄ちゃんの口調は、「お願い」を許さないものでした。
わたしがうなだれると、お兄ちゃんは蒸しタオルを取り替えて、
わたしに手渡しました。
わたしが黙って自分の胸を拭いはじめると、
お兄ちゃんが悪戯っぽい声で話しかけてきました。
「まぁ……胸を揉むのは問題ありすぎるけど、マッサージならアリかな」
「え?」
「人間の体は血よりリンパ液のほうが多いって知ってるか?
血液と違ってリンパ液の循環に心臓のポンプは働かないから、
運動不足で筋肉を使ってないとむくみやすいんだ。
老廃物が溜まると体に良くないしな。
リンパ節に向けてマッサージすると、リンパ液の流れがよくなる。
バストを大きくする効果があるかどうかまでは知らないけどな」
「教えてくれる?」
「ベビーオイルあるか?」
「うん。肌が乾燥したときのために、買ってある」
「オイルを塗り込むと効果的なんだ。
ホントは風呂上がりにするといいんだけどな」
ベビーオイルの置き場所を教えると、お兄ちゃんはそれを取りに行きました。
わたしはベッドの上で、上半身裸のまま仰向けになって待ちました。
戻ってきたお兄ちゃんは、天井を仰ぎました。
「○○……何でもいいから上に着てくれ」
「別に寒くない」
「そうじゃなくて。目のやり場に困るだろ?」
「服着てたら、オイル塗れないよ?」
「Tシャツだけでいいからさ。頼むよ」
マッサージするお兄ちゃんが、してもらうわたしに頼み事をするというのも、
なにか変でしたけど、お兄ちゃんに頼まれたのでは断れません。
わたしはその頃、Tシャツを着る習慣がなかったので、
代わりに半袖の体操服を頭からかぶりました。
お兄ちゃんは両手にベビーオイルをたっぷり塗ってから、
体操服の裾に手を差し込んできました。
首のつけ根の鎖骨のあたりを起点にして、脇の下に向けて、
繰り返し一方向にこするように指が往復しました。
「脇の下に大きなリンパ節がある。
リンパ節はリンパ液を処理して綺麗にするところなんだ。
リンパ液をリンパ節に向けて押し出すようにするのがコツだ」
お兄ちゃんは決して乳首には触れませんでしたけど、
向かい合って覆い被さられるような体勢でマッサージされていると、
どくどくと脈打つ胸のリズムが、お兄ちゃんの指先に伝わるんじゃないか、
と気が気ではありませんでした。
「はぁ……はぁ……気持ち良い……んっ」
「痛かったか?」
わたしは黙って首を横に振りました。
声を殺さないと、変な声が出てしまいそうでした。
わたしがおかしな声を出したら、お兄ちゃんは手を止めてしまう、
と思いました。
やがてお兄ちゃんの手がわたしの胸を離れたので、
わたしは目をつぶって深呼吸できるようになりました。
今度は、おへその下に手のひらが置かれました。
お兄ちゃんはわたしのパジャマのズボンとショーツをずらし始めました。
ハッとしてわたしが目蓋を開くと、お兄ちゃんは言いました。
「
お兄ちゃんはわたしのズボンとショーツを、
あそこが隠れるぎりぎりのところまで下ろして、
おへその下から鼠蹊部に向けて、マッサージを始めました。
わたしはシーツをぎゅっと握りしめて、平静を装おうとしましたが、
呼吸が荒くなるのは隠せませんでした。
ちょうど生理が始まる直前だったせいかもしれません。
腰の奥が熱くて、乳首が痛いぐらいに張っていました。
絶対揉みたかったはず!!