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お兄ちゃんは、下半身裸でした。
枕の上には、裸の女の人の写真が載った本が持たせかけてありました。
右手に、細めの消臭スプレー(8×4)のような物を握っていました。

お兄ちゃんは口を開けてぽかんとしていました。
股のあいだに、お風呂で見たのと全然違う
大きさのものが立ち上がっていました。

わたしが「あ、あ、あ」と訳の解らない事を言うと、
お兄ちゃんは我に返ったのか、
掛け布団で下半身をあわてて隠し、
もの凄い形相で怒鳴りつけてきました。

何を言われたのか聞き取れませんでしたが、
いつものあたたかくてよく通る優しい声とは
別人のような剣幕だったので、
わたしはとっさに「殴られる」と思いました。

恐ろしくて体が硬直してしまったので、
逃げる事も出来ませんでした。
わたしはその頃、恐がりの上に泣き虫で、
学校でクラスメイトにからかわれたりすると、
わんわん泣く事が多かったのですが、
この時は声が出ないのに、
涙だけ勝手にどんどん溢れてきました。

すると、お兄ちゃんは急に意気消沈して、
顔が優しくなり、
「泣くなよ……」
と小さな声で呟きました。

お兄ちゃんはそのまま黙り込んでしまい、
わたしはそのまま突っ立っていました。
永遠のようでしたが、たぶん実際には数分だったと思います。
思い返すと、たぶんお兄ちゃんは、
わたしが落ち着くのを待っていたのでしょう。

わたしは興奮のあまり、
しばらくはあはあと荒い息をついていましたが、
ハンカチで涙を拭くと、
部屋がぐるぐる回るような眩暈が収まってきました。

視界が晴れたわたしの目に入ったのは、
見たこともないほど小さく縮こまった、
お兄ちゃんの目を伏せた姿でした。
いつも頼もしかったお兄ちゃんがわたしに見せた、
初めての気弱そうな表情です。

それを見てしまうと、
なんだストンと気持ちが静かになりました。
思えばわたしがお兄ちゃんに対して、
精神的に優位に立ったのは、
たぶんこれが初めてです。

横に放り出した丸い筒が目に付きました。 丸い筒には見覚えがありました。
肩凝り性のお母さんが無くしたと言って
探していた、婦人用のマッサージャーです。
肩のツボに振動する先端を押しつけて、
凝りをほぐすというアレです。

わたしはお兄ちゃんに尋ねました。
「それで、なに……、してたの?」


お、お兄ちゃん....
2015-05-01 15:53:03 (3年前) No.1
ちょっとそれは…
2016-03-13 19:21:10 (2年前) No.2
あらら、見られちゃったか……w
2017-05-30 02:34:54 (1年前) No.3
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